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『カフカ・セレクション1』を読了して

信頼できる訳で読めるようになったことをまず喜びたい

その上で・・
どうして、「分量が少ないものから多いものへ」という編集方針が取られたのか
わからない
ある程度長めの方がカフカの世界に入りやすい人もいるはず

加筆:訳者によると、「カフカの書き残したものは、一見ばらばらなように見えるけれども、 短い断章のなかにも、すでに十全にカフカらしさ、エッセンスがすべて詰まっている」 ということを主張したかったそう


また、最近の研究で、パレスティナ移住問題など
非常に具体的な歴史背景が指摘されている作品群を
ばらばらにとりあげて、作品内在的に、あるいは素朴に
プラハを連想しつつ読む(読ませる)というのは、
やや時代錯誤な、あるいはミスリーディングを誘う配列だと思えた

加筆:特にセクション1に関しては平野先生が好きな作品を集めたそう。 3巻それぞれのテーマについても、出版社から即OKが出たとのこと

せめて、現在推定されている作品成立年代くらいは
作品の最後、あるいは巻末にでもつけておくのが読者のためだと思う
明らかに文体の違う、寄せ集めのカフカを読まされるのは
「Kritische Ausgabeに当たることができないけれど
真摯にカフカを読もうとしている一般読者」には気の毒な気がする

加筆:「池内訳は『超訳』なので、Kritische Ausgabeからは別の訳も出しておくべきだ」 という良心的判断には、疑念の余地はない。

巻末の短いカフカ論は、いつもながら秀逸。
ほほーと感心


カフカ・セレクション 1 (1) (ちくま文庫 か 13-2)

カフカ・セレクション 1 (1) (ちくま文庫 か 13-2)

  • 作者: フランツ・カフカ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2008/07/09
  • メディア: 文庫



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