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新版『カフカ・ハンドブック』(Vandenhoeck & Ruprecht)

Oliver Jahraus、Bettina von Jagow編。
1979年の二巻本のハンドブックと比べると、今回のは「ハンドブック」というか
まあ普通に「論集」の一つだな、という印象。

目次に目を通すと、
Joachim Unseld、Detlef Kremer、Hans Dieter Zimmermann、Henry Sussman
といった昔なじみの名前の他に、
レクラム文庫の「解釈」シリーズのカフカ本などに書いていた新進気鋭の研究者
の名前がずらりと並んでいます。


本書は全体が四部に分かれています

1.伝記、人と作品
2.作品概観
3.解釈アプローチ
4.作品個別解釈


以下、各パートごとに

1.伝記、人と作品
伝記パートは通年的に記述されているのではなく、項目別です。

ここで、医学言説史の Sander Gilman が「官吏としてのカフカ」「カフカと病気」
という二つの項目を執筆している。

2.作品概観
「全集の編集」
(Anette Steinich)を扱う項目があります。

このパートで Scott Spector が「カフカとモダニズム文学」の項を執筆。
「カフカとユダヤ」の項を執筆するのは、Andreas B. Kilcherという研究者。
"Textverkehr"や"Zionism and Beyond"といった論集にも書いていた人。


3.解釈アプローチ
「神学解釈」がなくて「脱構築」の項目(Maximilian G. Burkhart)が増えてる
のには、 多少時代の変化を感じます。

他のパートにも書いてる編者の Oliver Jahraus は、ここでは「カフカと文芸理論」
の項を執筆。
このへんが本人の一番力が入ってるポイント?
Dagmar C. Lorenz の記事「カフカとジェンダー」は、"Companion"からの再掲か?


4.作品個別解釈
『流刑地』をポストコロニアル研究の Alexander Honold
が担当しているのが、いかにも今風?

『田舎医者』の脱構築解釈で有名な Hans H. Hiebel が、『審判』+『掟の前』
を担当。
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